【第8回】うつ病と脳血管疾患は関係性がある?


診断名「うつ病」で障害厚生年金の請求書を年金事務所へ郵送したところ、職員の方から電話が入りました。

「診断書の既往症欄に脳梗塞と記載されており、うつ病との因果関係があれば追加の書類が必要となります。追加の書類を提出されますか?」と聞かれましたので、年金機構から正式に求められた時点で提出しますとお答えしました。

確かに、年金機構の事務処理手引きに「事故又は脳血管疾患による精神障害」は因果関係ありとして取扱うことが多いとの記載があります。

要は、脳梗塞が引き金となってうつ病を発症したのではないかと言っているわけです。逆に言うと脳梗塞にならなければ、うつ病は発症しなかったのではないかということです。

しかし、脳梗塞になられた方が100%うつ病を発症するわけではありませんよね。

したがって、事務処理手引きの記載は承知していましたが、あえて脳梗塞には触れずうつ病の書類だけを提出しました。

その理由として、

①月末までにどうしても請求書を提出したかったため
②脳梗塞の発症時、うつ病の発症時ともに初診日が厚生年金加入中だったため
③余計な費用負担を避けるため

①については、請求書の提出が月をまたぐと受給が決定した場合に支払いが1か月遅れてしまいます。
5月31日に提出すれば6月分から受給となり、6月1日に提出すると7月分から受給という具合にです。

診断書作成の依頼をしたのが今月中旬でしたので、請求者様には6月中の請求を目指しましょうとお話しをしていました。

ところが1週間もしないうちに診断書を作成いただけたため、今月中に請求書を提出する方針に切り替えました。

通常は年金事務所の窓口で提出するのですが、年金事務所は予約制なので行きたい日に自由に行けるわけではありません。

案の定、今月中の予約が確保できなかったため郵送して受け付けていただきました。

また、脳梗塞の書類も今月中に揃えることは時間的にも困難なため、書類は求められた段階で提出すればよいという判断をしました。

もし追加書類を求められたとしても、受付日は郵送で提出した今月中で変わりはないからです。

②については、うつ病の初診日が厚生年金に加入中でしたので障害厚生年金として請求しました。

もし脳梗塞が原因でうつ病を患ったとしたら、初診日がうつ病の初診日ではなく脳梗塞の関連で初めて受診した日に変わることになります。

そうなると、初診日が厚生年金加入中ではなくて国民年金加入中となるケースも考えられます。

国民年金加入中に初診日がずれますと、障害厚生年金の請求ではなくて障害基礎年金のみの請求となります。

等級にもよりますが、障害基礎年金のみの方が金額が低くなるという懸念があります。

ただ、この請求者様は、仮に初診日が脳梗塞の受診日と変更されたとしても厚生年金に加入中でしたので障害厚生年金の請求ができることに変わりはありません。

③については、脳梗塞の書類が必要ということになると医療機関から受診状況等証明書(脳梗塞に関連した症状で初めて医療機関を受診した日を証明する書類)を取得するのですが無料ではありません。

医療機関により違いますが、5,000円前後は必要でしょう。

請求者様の金銭的な負担も考慮し、100%必要とは言えない現段階では提出しなくても良いのではないかという判断です。

このように、請求書の提出一つをとってみても色々な要素が絡み合ってきます。

請求者様に不利益をお与えすることのないよう、請求サポートに取り組んでいきたいと思います。

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