おととしの6月に初診日があるとのことで、障害年金を請求できるかご相談がありました。
障害認定日は初診日から1年6か月が経過した日ですので、請求するタイミングはちょうど良いと思われました。
しかし、「保険料納付をしていない期間がかなりある。免除申請していた時期もあるが心配」と話されました。
初診日の時点で厚生年金に加入中かお聞きしたところ、無職で国民年金に加入しているとのこと。
現在の日常生活を少しお聞きしたところ、請求書類を整えて提出すれば受給は可能だと感じました。
しかし、保険料納付要件(20歳になった月から初診日のある前々月までに、一定期間の国民年金保険料を納めている必要がある)を満たさないと、どんなに障害が重くて日常生活に支障があっても年金は支給されません。
そもそも請求自体できず、仮に書類一式をそろえて年金事務所に提出しても却下(書類は受け取ってもらえず門前払い)されます。
したがって、障害年金の請求をする際にはまず初診日を特定し、保険料納付要件を満たしているか確認することから手続きはスタートします。(先天性の知的障害で請求する場合は、生まれた日が初診日となる取り扱いのため保険料納付要件を満たすことは求められません)
委任状をお書きいただき、年金事務所に行って保険料納付要件の調査をしてきました。
ほとんどの年金加入期間は国民年金のみの期間でした。
保険料を納めていない月には納付記録簿にアスタリスク(*)のマークが表示されているのですが、案の定と申しますかマークがたくさんありました。
職員の方が念のため計算してくれましたが、保険料納付要件は満たせませんでした。
なんとも気持ちのやり場がない複雑な瞬間です。
年金保険料をきちんと納めていたら・・・、免除申請を面倒がらずにやっていたら・・・という思いが次々と溢れます。
若いから年金なんて自分には関係ないと思われる方もいらっしゃいます。
しかし年金制度には、老齢年金だけではなくて遺族年金(一家の主な働き手が亡くなった時に残された家族に対しての生活保障)や障害年金(病気やけがで働けず日常生活に支障がある時の所得保障)としての役割もカバーしてくれています。
いわば人生の危機(年をとって働けなくなること、一家の大黒柱が亡くなること、病気やけがで働けなくなること)に対して、手厚い支援が年金制度として用意されています。
年金制度は破綻するなどと聞くこともありますが、この先もずっと必要な制度であることは間違いないでしょう。
誰にでも危機は突然襲ってくる可能性があります。
今回の事例のような経験をして後悔しないためにも、20歳になったら国民年金のことに関心を持ってくれる方が増えるといいなと思います。