【第32回】障害年金を請求しない人が多いワケ


精神疾患(うつ病・統合失調症・知的障害・発達障害)のため、仕事や日常生活に支障が生じている場合に、請求することにより受け取れる可能性がある所得保障として障害年金の制度があります。

老齢年金(年を取った時にもらえる年金)は、対象の年齢が近づくと自動的に日本年金機構から請求書類が送付されてきます。日本年金機構が対象者となる方の住所や年齢、年金の加入記録の情報を管理しているためです。

しかし障害年金は違います。障害年金を受け取れそうな対象者がどこにいるのか日本年金機構が情報を把握しているわけではありません。当然と言えば当然ですが・・・

したがって、いつになっても請求書類は送付されてこないのです。

障害年金を受け取るためには、あなたご自身が、障害年金の請求書類を整えて日本年金機構に提出する必要があります。請求しないということは、年金を受け取る権利を放棄することと言ってよいでしょう。

国の公的な制度であるにもかかわらず、なぜ障害年金を請求しない人が多いのか。

それは、障害年金という制度が広く周知されているわけではないからです。

「請求しない」というよりは「請求できることを知らない」と言ったほうが適切かもしれません。

主治医や病院のソーシャルワーカーが教えてくれたり、ご家族等が調べて障害年金の存在自体を知らないと請求できません。

運良く障害年金の制度を知ったとしても、請求に当たってはたくさんの書類を準備する必要があります。

請求書類を用意することができず、途中で挫折してしまい請求をあきらめてしまうことさえあります。これは非常にもったいないし残念なことです。

障害年金を受け取れる方にはきちんと受け取っていただいて、少しでも経済的不安を解消して療養生活に専念していただきたいと思います。

障害年金は2級で認定されても年間約80万円が受け取れます。請求が遅れれば遅れてしまうだけ、受け取る年金が少なくなってしまうこともあります。

障害年金の請求でお困りの場合は、あなたの大切な権利をしっかり守るためにも障害年金専門の社会保険労務士にご相談いただくことをお勧めします。

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