障害年金の請求をする際には、一部の場合を除き保険料納付要件をクリアしているか年金事務所で確認する必要があります。
保険料納付要件をクリアしていないと、どんなに障害状態が重かったとしても障害年金を請求すること自体できません。
決して安価ではない診断書を取得して、年金事務所で請求書類を提出しようとしたところ、保険料納付要件を満たしていないことが発覚してしまうと、それこそ大変な労力と貴重なお金が水の泡と化してしまいます。
保険料納付要件は、初診日(請求を考えているご病気と関連のある症状で初めて医療機関の診察を受けた日)が決まらないと確認することができません。
まずは初診日となる日を特定して、保険料納付要件を満たしているかを確認することから障害年金の請求はスタートします。
そこで確認すべきことは、「初診日の前日時点における初診日のある月の前々月まで」の保険料納付状況です。
なぜ初診日の前日時点かというと、納付せず放置していた保険料を初診日以降にあわてて納付することを防止するためです。つまり、初診日以降に後から保険料を納付してもそれはダメですよということです。
また、なぜ初診日のある月の前々月までの納付状況を確認するかというと、保険料は翌月の末日が納期限となっているためです。
5月分の保険料の納期限は6月末日というように。
例えば、初診日が7月10日とします。そうすると、その時点で保険料の納期限が到来しているのは5月分(納期限は6月30日)までとなります。
6月分の納期限は7月31日ですから、初診日の前日時点ではまだ納付している必要がないからです。
したがって、このケースでは5月分までの保険料納付要件を確認することとなります。
では納付要件をクリアする条件ですが、次の①か②どちらかをクリアしていれば大丈夫です。
例えば、初診日が令和3年10月5日だとします。保険料納付要件を確認する起点となるのは令和3年8月分となります。そこから直近の1年間となりますので、令和2年9月分からとなります。
したがって、令和2年9月分から令和3年8月分までの1年間に保険料の納付や免除が承認されていればクリアとなります。
極端な話ですが、それ以外の期間はまったく保険料を納めていない期間であったとしてもクリアと認められます。
例えば、昭和56年4月生まれの40歳の方で初診日が令和3年10月5日とします。
この方が20歳となるのは平成13年4月です。したがって、平成13年4月分から令和3年8月分までの期間(245か月)のうち3分の2以上(164か月)の期間、保険料の納付や免除の承認期間があればクリアとなります。
言い方を変えれば、保険料を納めていない期間があったとしても3分の1未満の期間であれば大丈夫です。
実際に年金事務所で保険料納付要件を満たしているか確認する際は、まず①の条件をクリアしているかを確認します。クリアしていなければ②の条件ではどうかという流れです。
残念ながら、①と②両方ともクリアできていなければ障害年金の請求ができません。
ですので、保険料を「未納」状態で放置していることは論外です。障害年金の請求に限ったことではなく、未納状態は年金制度において得することは何一つありません。損するだけです。
「免除」は、全額免除・半額免除・4分の1免除・4分の3免除・納付猶予(50歳未満の方に限る)の各区分があります。
免除申請の手続きをすると、年金機構が本人や配偶者または世帯主の所得などを調査してどの免除区分になるかが判定されます。
保険料納付要件の期間をカウントするときは、全額免除期間や納付猶予期間であれば単純に1か月でカウントされますが、それ以外の区分で判定された場合は単純に「1か月」としてカウントされません。
半額免除期間の場合だと、「半額分は免除するから、そのかわり残りの半額分は納付してください」という扱いです。
そして実際に半額分が納付されていれば(初診日の前日より前に)、「2分の1か月」としてカウントされることとなります。
同様に、4分の1免除期間の場合だと「4分の3か月」、4分の3免除期間だと「4分の1か月」としてカウントします。
注意しなければならないのは、全額免除や納付猶予以外の区分で免除が承認された場合は残りの保険料を納期限までに納付しないと「未納」と同じ扱いとなってしまいます。
保険料納付要件の月数としてカウントされません。せっかく免除申請をしても意味がなかったということになってしまいます。
保険料の未納状態は絶対にいけません。
保険料を納付するのが難しいときは、市区町村役場で免除申請を速やかにしておくことがとても大切です。
そして、一部納付する必要がある場合は、納期限までに納付しておくことがいざというときの支えになるはずです。