ご自身やご家族で申請手続きをする際の進め方をご案内します。
障害年金の申請には診断書が必要です。
受診の際に「障害年金を申請したいと考えています。診断書を作成していただけますか」と主治医にお伝えください。
障害年金に対する医師の考え方は様々です。
障害年金の受け取りに理解を示す医師がいる一方で、「病気を治そうとしなくなる」「仕事をする意欲が失われる」「障害年金をもらうほど症状は重くない」などの考えで、積極的に受け取りを勧める医師はそう多くはないと感じます。
「何年も通院しているのに障害年金のことを教えてくれなかった」と相談されることがありますが、そのようなことも影響しているのではないでしょうか。
単に障害年金のことを知らない、もしくは知っていてもほとんど知識がない場合もあるかもしれません。
いずれにせよ、どんなに症状が重くても診断書を作成してもらわないことには申請ができません。
ただ残念な事に主治医の了解が得られずに、障害年金の申請が叶わない方もいらっしゃるのが現実です。
主治医に診断書の作成をお願いしたところ「年金財政が破綻する」と言われた。と相談されたことがあります。確かに高齢者が増加して平均寿命も伸びている状況ですので理屈はわかります。しかし、診断書の作成に難色を示す理由としてはいかがでしょうか。日常生活に支障があり仕事もできず経済的な余裕がない状況であれば、安心して療養に専念するためにも障害年金は受け取るべきと考えます。正当な権利の行使を制限するようなことがあってはなりません。
初診日とは、障害年金を申請する病名と関連のある症状で一番初めに医療機関を受診した日のことです。
初診日がわからないと申請のスタート地点に立つことができません。
医療機関がずっと同じ場合は、その医療機関にお聞きすれば教えてくれるので簡単に特定できます。
ところが、簡単に特定できないケースも多いのです。
- 医療機関を転々としていて、どこの医療機関を一番初めに受診したか思い出せない
- 廃院している
- 最後の受診から5年以上経過しているためカルテ(診療録)が廃棄されてしまった
初診日を証明するための書類として「受診状況等証明書」を作成してもらう必要があります。
しかし、初診の医療機関を探すことができなかったり、カルテが廃棄されたりしていると「受診状況等証明書」を用意することができません。
もしカルテが廃棄されていたら、紙台帳の受付管理簿やパソコンに患者一覧表などが保管されていないかなど初診日の特定に結びつく情報が何か残っていないか粘り強く確認しましょう。
障害年金を申請するには、20歳から強制加入となる国民年金保険料を一定期間きちんと納付している必要があります。
初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの期間で確認します。
なぜ「初診日の前日」かというと、年金も保険のしくみと同じです。
したがって、何か事故があった日(障害年金では初診日)を過ぎてから急いで保険料を支払ってもそれは認めませんということです。
また「初診日のある月の前々月」というのは、年金保険料の納期限が翌月末日のためです。
例えば、5月分の保険料の納期限は6月30日です。初診日が5月10日だとすると、その時点では3月分まで(4月30日が納期限)納付されていれば良いということになります。
納付状況は、予約を取ってお近くの年金事務所に出向いて確認してください。
初診日を窓口職員に伝えると、納付状況のデータと突き合わせて確認してくれます。
なお、知的障害で申請する場合は初診日=生まれた日となるため、保険料納付状況の確認は必要ありません。
「年金保険料が免除されている」場合も、初診日の前日までに免除申請の手続きをしている必要があります。
一番初めに受診した医療機関に作成を依頼します。
日本年金機構で作成している所定の「受診状況等証明書」の用紙を医療機関にお渡しください。
作成代金は医療機関により異なりますが、5,000円前後のことが多いです。
有効期限はありません。
作成期間がどのくらいかかるのかを依頼する際に聞いておくことが望ましいです。
作成された証明書で特に注目して見てほしいのが、そこの医療機関よりも前にどこかの医療機関を受診したことが読み取れる部分がないかを確認してください。
もし読み取れる部分があると、さらにその医療機関で受診状況等証明書を作成してもらう必要が出てきます。
日本年金機構で作成している所定の診断書(精神の障害用)の用紙を医療機関にお渡しください。
医師によってはパソコンで作成しますので、用紙を渡さなくても良い場合があります。
あらかじめ、受付職員に確認を取りましょう。
作成代金は医療機関により異なりますが、5,000円~20,000円位までと幅があります。
診断書の作成にかかる期間は、1週間のこともあれば、2か月後という場合もあります。
依頼の際に作成期間の見通しをあらかじめお聞きください。
作成された診断書で特に注目して見てほしい部分は、診断書裏面の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」のチェックが付いている場所です。
この部分は審査の際、非常に重要とされている項目ですのでしっかり確認してください。
しかし短い診察時間で、日常生活の様子や抱えている不自由さをありのままにお伝えできていますか?
主治医に「具合はどうですか?」と質問されて、「特に変わりありません」と答えたとします。
すると主治医は、「変わりありません」=「いい意味で安定している」と解釈するのではないかと想像します。
したがって、診断書の内容は医師の主観が色濃く反映されてしまい、実態とはかなりかけ離れた内容となってしまう可能性があります。
これを防ぐためには、診察時や診断書の用紙を渡す際に日常生活の実態や困っている事をメモ書きにして主治医にお渡しすることをお勧めします。
カルテには書ききれなくても、後からメモを見返すことができますのできちんと診断書に反映していただける可能性は高まると思われます。
診断書の内容に納得いかない部分があれば、きちんと主治医にお伝えして修正できないかお願いしてください。
障害年金の診断書は記入する部分も多いため、記入漏れや記入誤りがあることも多いです。そうすると年金事務所で提出しようとした際に受け取ってもらえません。修正をお願いするために病院へ再度出向いたり、年金事務所に改めて予約を取って出直すなど手間と時間がかかることは承知しておいてください。
発病から現在までの就労状況や日常生活の様子を「病歴・就労状況等申立書」にまとめます。
この書類は、申請者が審査機関に対して自分の言葉で伝えることができる大切な申立書です。
わかりやすく簡潔に記載することがポイントです。
診断書の内容と食い違う部分がないかも確認しながら作成しましょう。
知的障害と発達障害(自閉症スペクトラム症・注意欠陥多動性障害など)で申請する場合は、生まれた時からの記載が必要となります。
成人してかなり経過してから申請する時は、幼少期のことを記載するのに苦労するケースが多いです。
年金事務所に所定の書式があるので、下書き用も含めて記入用紙をもらってください。
あるいは日本年金機構のホームページに書式がアップされていますので、パソコンで作成してもかまいません。
作成出来たら何度も読み返してみて不自然なところがないか確認しましょう。
障害年金は書類審査だけで受け取りの可否が決定します。審査機関の職員が面接に来るわけではありません。そのため、いかに実態に応じた「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が用意できるかが最大のポイントです。
STEP6の病歴・就労状況等申立書の作成と同時進行していただいて結構です。
一定の条件を満たした場合に配偶者や18歳未満の子どもがいる場合は、障害年金に加算額が上乗せされます。
「住民票の写し」(世帯が同一であるかの確認)・「戸籍謄本」(家族関係の確認)・「所得証明書」(配偶者の収入状況の確認)が必要となります。
最近はマイナンバー制度により、住民票の写しと所得証明書はほとんどのケースで省略可能ですが戸籍謄本は必ず取得してください。
ただし本籍地がわからない場合は、住民票の写しを取得してください。
本籍地がきちんと記載されています。
なお戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得します。
本籍地が遠隔地の場合は、郵送で請求することができます。
ホームページや電話で問い合わせて、必要書類や手数料の金額(1通450円の場合が多い)などを事前に確認しておくと良いでしょう。
年金請求書に住所、氏名など必要事項を記入します。
年金の受け取りを希望する金融機関の貯金通帳のコピーを用意します。
もし療育手帳や精神障害者保健福祉手帳があればそれもコピーします。
書類が受理されると受付票を渡されますので大切に保管してください。
なお提出する書類は事前にコピーを取って大切に保管することをお勧めします。