診断書を見ると一人暮らしをしていることがわかる
精神疾患(うつ病や発達障害など)で障害年金を請求する場合、日本年金機構所定の診断書を提出します。
その診断書には、現在の生活環境に関して記入する項目があります。
現在の生活環境とは、病院に入院しているのか、在宅で生活を送っているのか、同居者はいるのかなど、どのような環境下で暮らしているのかを確認するために設けられています。
障害年金の診断書は全部で8種類あるのですが、現在の生活環境を記入する必要があるのは、精神疾患の診断書だけです。
これが意味するところは、自力で生活できているのか、あるいは何かしらの支援を受けて生活しているのかという情報が、 審査機関が精神疾患での障害状態を判定する材料として 大きな要素とされているためです。
眼や耳の障害であれば、検査によって視力や視野、聴覚の状態は数値によって明確に障害の程度をあらわすことが可能です。
ところが精神疾患は、数値によって障害の程度をあらわすことができないからですね。
一人暮らしは審査に不利な影響を与える場合がある
「一人暮らしをしている」と聞くと、一般的には「誰かの支援が無くても何の支障もなく生活が成り立っている」という先入観を感じることはありませんか?
食事が規則正しく取れる、毎日お風呂に入れる、必要な物を買いにスーパーへ行けるなどと想像してしまいがちです。
審査機関側からすると、「生活が成り立っているんだから障害状態はさほど重くない。だから障害年金は支給する必要がない」と判断する理由となるでしょう。
実際の事例として、以下の理由で障害年金が受け取れなかったケースがあります
現在は在宅で生活していて同居者はいない
一人暮らしだけが理由ではなかったのですが、同居者がいて支援を受けて生活している場合と比較すると障害年金を受け取れる可能性が低くなることは言えると思います。
一人暮らしが理由で不当な審査結果を招かないためのポイント
診断書や病歴・就労状況等申立書に、一人暮らしをしている理由をきちんと書くことです。
- 両親が他界し、兄弟姉妹もおらず身寄りが誰もいないため
- 家族との折り合いが悪く、同居するストレスで病気の症状が悪化してしまうため
- 少しでも単身での生活ができるように訓練を兼ねて、実家の近所にアパートを借りて生活しているため など
ただ「一人暮らしをしている」と書くだけではいけません。
どういう背景があるのか、どんなやむを得ない事情があるのかを文章で訴えない限り審査機関には伝わりません。
審査機関は診断書は当然ですが、病歴・就労状況等申立書の記入内容も良く見ています。
わざわざ書かなくても事情を察してくれるだろうという淡い期待を抱いてはいけません。
審査機関は、どんなに特殊な事情で一人暮らしをしていたとしても、書かれていないことは考慮してくれません。
不当な審査結果を受けることのないよう、記載内容には細心の注意が必要です。