【令和3年7月6日掲載】
【令和3年8月2日更新】
【令和4年1月7日更新】
相談のきっかけ
精神障害保健福祉手帳3級を所持されていましたが、更新手続きで2級に変更されました。
障害年金の請求ができるのか、ホームページを見てご相談いただきました。
無料診断をお受けいただき、日常生活に関するチェックリストと更新手続きで取得された診断書の内容から、受給の可能性は微妙であると診断しました。
手続きの途中経過
ご自宅で約2時間30分面談をしました。
ご主人のお仕事の関係で長野県外から転居されてこられました。
転居前に受診していた医師からは、ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されていました。
また、ご自身の中ではアルコール依存症の傾向もあったとのことです。
日常生活の状況は、幼少期から時間が守れなかったり忘れ物が多かったそうです。
物が捨てられない、部屋の片づけができない、物事の計画が立てられないなど多くの支障を抱えてこられたようです。
転居に伴い、新しい医療機関への受診が始まりました。
ところが、治療方針などを巡って医師に不信感を抱かれました。
転院前は医師との相性も良好で、お話しも親身に聞いていただけていましたが、転院後はお話もきちんと聞いていただけず、医師の主張だけが独り歩きしていたようです。
障害年金の診断書をお願いした際も、取り合ってもらえず取り付く島もない状態でした。
ご契約者様も見切りをつけ、別の医療機関に転院することを決めました。
このまま医師との話し合いを続けても事態の好転は望めませんし、診断書の作成に応じてくださったとしても日常生活の実態が正確に反映された診断書の作成は期待できなかったと思われます。
初診日(請求する病名と関連のある症状で初めて医療機関を受診した日)も障害認定日(障害の状態を定める日のことで、初診日から1年6か月を経過した日)も、転居前の同じ病院でした。
障害認定日時点での診断書の作成については了解が得られたため、遡及請求(障害認定日にさかのぼって障害年金の支給を認めてもらうこと)する方針といたしました。
遡及請求の場合は診断書が2枚必要となります。「障害認定日の診断書」と「現在の診断書」です。
現在の診断書がいつ取得できるのか見通しが立たない状態でしたが、先行して「障害認定日の診断書」の作成を依頼しました。
幸い転院後の医師との相性も良さそうで、「現在の診断書」の作成は初回の診察時にご了解いただけました。
その翌日には、診察中にもかかわらず医師と面談の上、参考資料を添付して作成をお願いしました。
病歴・就労状況等申立書の原案はほぼ作成できましたが、診断書の内容を精査して完成させることとなります。
診断書が2枚そろったら次の段取りに入ります。
このお客様の請求にあたっては、住民票(同居の確認)・戸籍謄本(親子関係の確認)・戸籍附票(転居しているため住所歴の確認)が必要です。
幼少のお子様がいらっしゃるため、障害年金の受給が決定すると加算金が付くからです。
住民票は現在の住所地の市区町村役場、戸籍謄本と戸籍附票は本籍地の市区町村役場で取得する必要があります。
ただし、これらの証明書は、障害年金の書類一式を年金事務所に提出する日から1か月以内のものでないと無効扱いとなってしまいます。
診断書がいつ用意できるか明確であれば逆算して用意できますが、今回はいつ診断書が用意できるか不明なのでタイミングを見定めている状況です。
「障害認定日の診断書」作成依頼から、1か月半近く経過しようとしています。
【ここから令和3年8月2日更新】
「現在の診断書」は依頼から2週間弱で作成いただきました。
こちらの医療機関は、ホームページに診断書の作成日数についての記述があるため、いつ頃できてくるのか見通しが立ちやすかったです。
その一方で、「障害認定日の診断書」は、一向に作成される気配がありませんでした。
時折、障害認定日の医療機関へ確認の連絡をしましたが、「通院中の患者さんの診断書作成を優先的に対応している」「コロナ禍でいつになるかわからない」という曖昧な返事しかもらえませんでした。
ところが、ご契約者様から直接お問い合わせいただいたところ、その数日後には診断書を作成したとの連絡が入りました。
7月中の請求を断念しかけていたので、慌てて住民票の写し(当職が代理で取得)、戸籍謄本および戸籍附票(本来は当職が代理で取得しますが、ご事情によりご契約者様が取得)を用意しました。
時間的な暇がなかったため、ご契約者様と直接お会いして戸籍の証明書を受け取りました。
出生時からの病歴・就労状況等申立書の確認もしていただき、一部修正や加筆の上、7月下旬に年金事務所へ書類一式を提出することができました。
障害認定日で受給が認められれば良いのですが、診断書の内容からは、正直厳しいかなという状況です。
もし、審査の結果、障害認定日の時点では不支給で請求日時点からは支給決定ということになると、年金が受け取れるのは8月分からとなります。書類の提出が8月にずれ込んでしまうと、受け取りも遅れて9月分からとなります。
そんな事情もあり、ご契約者様にも協力をいただきながら、なんとか7月中の請求にこぎつけることができました。
障害年金センター(東京都)での審査は、約3か月かかります。
また動きがありましたら、随時情報の更新をします。
【ここから令和4年1月7日更新】
書類の提出からおよそ2か月後、障害基礎年金2級での受給が決定しました。
さらに障害認定日からの分も認められました。
これにより、約3年間分がさかのぼり初回の年金振込時に一括で支給されます。
ご自身で請求手続きをする場合には、障害認定日での請求はされなかったかもしれません。
年金事務所で相談する際には、一定の条件を満たしていれば障害認定日での請求が可能との案内がされるはずです。
しかしながら、障害認定日で請求するにあたっては様々な注意点があります。
また、必要となる診断書の作成医療機関が、現在通院している医療機関とは異なることも多いです。
ましてや転居に伴って遠隔地の医療機関であると、なおさら請求のハードルは高くなるでしょう。
弊所は、ご契約者様に不利益を与えないよう細心の注意を払い業務に取り組んでいます。
次回の診断書更新は令和6年です。
経済的な安心感を得ていただくことに貢献できたことを嬉しく思います。